最大150億円の物流施設への投資についての補助金

大阪で独立系の物流コンサルティングを業とする、ロジヤの代表である板垣大介が、今回は、物流施設への投資に対して最大150億円の補助金が給付される、2020年5月下旬に公表された「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」について紹介します。

補助金の概要

先ずは、今回の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の概要についてお伝えします。当補助金は工場と物流施設が対象となりますが、こちらでの紹介は物流施設をメインとします。工場が気になる方は、当ブログの最後にある経済産業省のURLからご確認ください。

補助金額

補助金で一番気になるのが、いくらもらえるの? だと思います。厳密には「もらえる」という表現は、少し違うのですがそこの説明は改めて。

補助金交付上限額:150億円
補助率 :大企業は2/3以内、中小企業は3/4以内
事業期間:原則3年間(大規模投資案件は4年間)

上限額と補助率の関係は、補助金になじみがない人には分かりづらいかもしれません。

簡単に言うと、中小企業の場合は200億円の投資をした場合に、その3/4の150億円が補助金として給付されることを示してます。200億円以上の投資をしても、上限である150億円までしか補助金は給付されませんし、逆に200億円よりも少ない投資の場合も投資額の3/4までしか補助金は給付されないことを意味しています。

あと、通常の補助金は事業期間が会計年度単位となり、短い期間で実施する必要があるのですが、当補助金は3年間と物流施設を検討するに必要な最低限の期間は確保されています。

ちなみに、予算規模は2,200億円ですので単純計算すると約15社となりますが、200億円規模の投資ばかりではないでしょうから、採択される事業者はもっと増えると思われます。問題は、そのうち物流施設がどれくらいの比率になるかですが。

補助対象経費

補助金はどんな費用にも適用されるのではなく、通常は対象となる経費区分が指定されています。指定された経費以外の支出の場合は補助対象とならず補助金が支給されません。では今回の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」についてみてみます。

補助対象経費:建物取得費/設備費/システム購入費

なんと、建物取得費が今回の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」で補助対象経費となっています。

多くの補助金の場合、不動産関連の投資については補助対象経費とならない場合が多いのですが、今回は対象になる点が目玉です。

他は、物流施設へ導入する設備やシステム購入費です。物流施設を新たに開設する場合に必要となる投資のうち、土地と人件費を除いてはかなりの部分が、当補助金でカバーできるのではないでしょうか。

申請書の提出締め切り

一般的に助成金は申請要件を満たしている場合には支給されますが、補助金は審査があり審査結果で支給されるかどうかが決まります。審査をしてもらうためには、締め切りがあり締め切り日までに申請書を提出しなければいけません。

公募受付締切:2020年7月22日(水)正午必着

今年から多くの補助金がGビズIDと呼ばれるシステムを使っての電子申請となったので、正午を見ててっきり電子申請かと思ったら、郵送による申請でした。持ち込みは禁止なので、基本的には前日かそれより前には申請書を完成させておく必要がありますね。

ちなみに、申請する場合は事務局と立地を予定している経済産業局に事前に相談するようにと注意書きがされています。大阪だと、近畿経済産業局になります。

補助事業の目的

本当は、一番最初に確認しないといけないところなのですが、たぶん皆さまの興味は上記の3つだろうと思い冒頭で説明しました。最後に、一番大事な目的について案内させていただきます。

事業の目的:
この補助事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、我が国サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高い製品・部素材、又は国民が健康な生活を営む上で重要な製品・部素材に関し、国内の生産拠点等の整備 を進めることにより、製品・部素材の円滑な供給を確保するなど、サプライチェーンの強靭化を図ることを目的とします。

なぜ目的が一番大事かというと、補助金の目的に沿った事業内容でなければ、採択されないからです。今検討している投資内容が補助金の対象になるのかどうか全体感を持って判断するためにも、目的を確認することが大切になります。もちろん、公募要領では一番最初に書いてあります。

さらに、細かな部分まで説明していくときりがありませんので、下記URLの経済産業省の案内、及び補助金の事務局のホームページから概要説明資料公募要領をご確認ください。

経済産業省:「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の公募について
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2020/k200522001.html

最後に、補助金はあくまでも手段です。補助金が出るからと言ってムダな投資をしてしまっては意味がありません。補助金をもらうことを目的に申請を検討することだけはどうかおやめ下さい。今回で言えば1/4は自社での支出になるわけですし、土地や人件費、補助金の申請に係る時間もムダにしてしまいます。

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