物流目線で見るマスク2枚問題

ここ数日騒がれているマスク2枚問題について、ロジ屋として物流目線で考察してみました。

なので、今回配布されるであろうマスクが、新型コロナウィルスに対して有効なのか無効なのかは論旨としていません。200億を超えるお金の使い方としても特に論旨としてはいません。ただ、せっかく生産されたマスクなので有効に活用されるためにはとの視点で考察しています。

そもそも物流目線で何が問題

■在庫の偏在

今回のマスク2枚問題、物流目線で考えたときの1番の問題は在庫の偏在です。物流に関わっている人からすると、在庫の偏在って言われてもピンとこないかもしれません。今回で言えば在庫の偏在とは、日本全国で見れば配られて使われていないマスクがあるのに、家庭によっては2枚しか配られないので家族の分が無くて足らない状態の事を言います。巷に出回っているサザエさん一家の画像なんか正にそうですね。

そもそもマスクをする人・しない人がいる。(個人的にはこのご時世ですし、相手に移すリスクを下げるためにも基本的にはする方がよいとは思いますが・・・。)

マスクをする人の中でも、手元にサージカルマスクなどの使い捨てのマスクの在庫がある人と無い人で違いもある。もちろん今回配布されるマスクは布製のマスクとのことで、新型コロナウィルス対策としての有効性の議論もあります。

さらに、マスクはやはり顔のサイズに合ったものを使わないと効果が大幅に低下する点も大きな要素です。これは花粉症の人はすごく大観されること難ではないでしょうか。つまり、今回配布されるような布製マスクを必要とする人にとっても、サイズが合っていなければ在庫の偏在を招くのです。国会の映像等見ていて、まったくサイズの合ってないマスクをしている姿を見ると、やってます感だけで・・・。

布製のマスクなら既に自分で作っている方も多数いらっしゃり、そのような方は自分の顔のサイズにベストフィットで作られているでしょうから、サイズが合わないマスクもらってもな~ってなるのは、容易に推測できます。マスクに限らずサイズのあるものはその辺が難しいんですよね。

■配達リソースのムダ遣い

次は各戸に配達するための配達リソースのムダ遣いです。今回は、日本郵政の「タウンプラス」の利用が検討されているようですが、そもそもこの数年で日本郵政の量の面での配達能力はかなり余裕がなくなっているはずです。配達リードタイムを伸ばすや引き取りサービスの廃止など、このところの取り組みを見ていれば容易にわかることです。

そのような中で、使ってもらえるかどうか分からないマスクの配達にリソースを割くべきなのでしょうか。使われないマスクの配達のために割かれたリソースは社会的損失になります。

物流視点ではどうしたらよいか?

〇投機と延期

物流の世界、特にサプライチェーン・マネジメント(SCM)の世界には投機延期の二つの考え方があります。今回のマスク2枚問題は、在庫のストックポイントの最も川下である各家庭に送り込むという点から、投機的対応と言えます。

物流視点で言うと、もう少し延期的対応を取るのが良いのではないかというのが、在庫の偏在配達リソースをムダにしないために有効ではないかとの考えです。

家庭の一つ手前のストックポイントである、ドラックストアやコンビニで在庫すれば一段階の延期化が図られたことになります。それはどういうことかというと、普通の市場原理に任せて流通市場に流せばよいとのことです。デカップリングポイントを家庭から小売店にすることで、必要な人(布製のマスクでも欲しい人)だけが購入することで在庫の偏在は解消されますし、配達リソースのムダ遣いも発生しません。自分に合ったサイズを探すことも可能です。

いろいろと議論のあるマスク2枚問題について、物流という一つの視点から個人的な見解を述べさせていただきました。物流の視点といっても、物流の中でもいろんな視点があるかと思いますので、あくまでも一つの考え方です。ただ、在庫を考えるうえでの投機や延期といった考え方を知る機会になればと思って書いてみました。

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